No.9 渦中転出 (かちゅう てんしゅつ)
「渦中転出」という言葉は、「渦中」と「転出」に分かれています。
まず「渦中」とは、水のうずまく中。 ごたごたした事件の中。トラブル、混乱、もめ事などの中心の事をいいます。
そして「転出」とは、今まで自分が居た所を出て、他の所に移る事をいいます。
早い話が、「渦中転出」とは、トラブルなどに巻き込まれてはいけない、という意味です。
混乱やトラブル、もめ事などというものは、だいたいにおいて人間が作り出すものです。その中で囚われてはいけません。囚われるとは、出口のない四角い部屋の中に人が閉じこもってしまう、というような漢字です。混乱やトラブル、もめ事などに囚われることなく、まずは、そこから出て、客観的に見る目と、冷静な心を持って考えてみるという事はとても大事な事です。
そして、まずそれは自分の責任下かどうかを考え、責任下であれば、どうしたら良いのかをじっくりと考えます。そして、もし、自分ひとりの力では解決が不可能な事であれば、必要であれば誰かの助けを借りる事も考慮しなくてはなりません。いったん、客観的に物事を見て考え直す、という事は、時には非常に役に立つ事があるものです。
「木を見て森を見ず」という諺にもあるように、一本一本の木に目を奪われて森全体を見ない、
つまり、ものごとの些末(さまつ)な一面に拘(こだわ)り過ぎて、本質や全体を捉(とら)えられないことの事をいいます。
人間が作り出すトラブルとは違って、自然界においてのトラブルは常に必要性も伴って起こっているように思います。地震にしろ、津波にしろ、台風にしろ、干ばつにしろ、そこには必ず長所と短所があり、地球も君達と同じように生かされているのだよ、という訴えにも似た悲鳴のように感じることがあります。地球も私達も、大きな「生命」の中で共存しているのであります。真剣になって地球環境を考えるのは、地球に住ませて頂いている人間の当たり前な奉仕の精神でなくてはならないのです。それを怠ることから、大きな自然災害がめぐりめぐってくるのではないでしょうか?
人間は、生かされているのです。今現在を満足出来ない人には、明日の満足は有り得ません。人が作り出したトラブルなどに巻き込まれる事なく、今を喜び、感謝をして過ごす。
武道を学ぶ人達には、生活の基本に、「渦中転出」を踏まえ、木も森も見える人であってもらいたいと思います。
平野清久
コメントの投稿